絶滅危惧のパンダが暮らす、四川ジャイアントパンダ保護区群―中国世界遺産

中国の世界遺産、33回目は2006年に登録された自然遺産、「四川ジャイアントパンダ保護区群」です。世界遺産に登録された地域の総面積は約9200平方キロメートルで、東京都が4個も入る広さの中に、7つの自然保護区と9つの自然公園が含まれています。登録地域の中心となる臥龍保護区内には、世界で唯一のパンダの研究所である「ジャイアントパンダ保護研究センター」があります。

※地図は臥龍自然保護区

300万年前からほぼ同じ姿

パンダは絶滅危惧種の動物で、野生の個体は現在中国の四川省や陝西省などごく限られた場所でしか確認することができません。四川省のこれらの施設はパンダの保護や繁殖を行う重要な場所で、中国全土の約30%の野生のパンダが四川省に生息しているそうです。発掘された化石などから、パンダは約300万年前から今とほぼ同じ姿だったといわれています。毛皮目的の乱獲や都市開発により個体数が激減し絶滅危惧種となりました。中国は約30年前からパンダの保護活動を展開し、繁殖を続けてきました。人間の手によって生まれたパンダを野生に返す研究も行われています。

2010年には、英科学誌ニュー・サイエンティストが選ぶ「2010年の最も優れた写真12枚」に、「パンダの着ぐるみ姿で子パンダの野生化に励む飼育員」の写真が選ばれました。写真は臥龍中国ジャイアントパンダ保護研究センターで撮影されたもので、子パンダの野生化を促すための訓練基地内では人間の気配を消すため、全員がパンダの着ぐるみ着用する決まりになっているそうです。

「パンダの着ぐるみ飼育員」の写真、英科学誌の「今年の12枚」に選ばれる―中国メディア

パンダ保護区2

パンダ保護区3

パンダが竹を食べる理由

2012年、発情期のパンダに独特な「求愛言語」があることを中国の専門家が発見しました。北京師範大学の劉定震教授を中心とする研究チームが、四川省臥龍中国パンダ保護研究センター内で行った研究によるもので、発情期にある雌パンダの特定の声を録音し、別の場所にいる発情期のパンダに聞かせたところ、尿と肛門腺の臭いに特徴的な反応が現れたそうです。

パンダは中国でのゲノム解読などにより、「クマ科の亜種」でイヌに最も近い動物といわれています。鋭い牙を持つパンダですが、主食は竹です。なぜパンダが竹ばかりを食べるのか、2018年2月に成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地が研究成果を発表しました。それによると、竹の生育範囲は広く容易にエサとして手に入れることが可能なだけでなく、パンダとエサをとり合うようなライバルも少ないそうです。さらに、その他の木本植物と比べると竹に含まれるデンプンはやや高めとなっており、季節によって竹の各部位に含まれるデンプンの濃度は変化しますが、パンダは常にデンプンが最も多く含まれる部分を選んで食べています。生存していく上で「コストパフォーマンス」の高いエサだったためだと研究では指摘しています。

パンダが竹を食べるのはなぜ?長年の謎がついに解明―中国メディア

パンダ保護区4

パンダ保護区5

パンダはなぜ“怠け”ている?

パンダを最初に発見した西洋人はフランス人宣教師、アルマン・ダヴィッド神父と言われています。ダヴィッド神父は1869年に四川省穆坪(現在の雅安市宝興県)でパンダを発見し、ジャイアントパンダの存在を欧米に広めたそうです。

動物園では寝ている姿のパンダをよく見かけます。よく寝ているイメージがあるパンダですが、2015年には新陳代謝の面から分析を行った結果、エネルギー消費量が極めて低いことが明らかになりました。そのエネルギー代謝率は動きが遅いことで知られるナマケモノと同程度だったそうです。

パンダが1日に消費するエネルギー量は他の似たような大きさの陸上哺乳類と比べると大幅に少なく、人類と比べると、90キロのパンダは同体重の人間の半分でしかないといいます。パンダは本来肉食動物で、パンダの消化器は今も肉食動物としての特徴をとどめており、カロリーも栄養価も低い竹を大量に食べなければ生命活動を維持できず、エネルギー消費節約のため“怠け”ているそうです。

パンダはなぜあんなに怠けきっているのか?その理由が判明―中国メディア

パンダ保護区6

パンダ保護区7

パンダはほぼ1日中、竹を食べています。365日毎日19時間は竹を食べています。怠け者のイメージがあるパンダですが、自然の生息地においては、季節によって地形が険しい山の中腹を移動することも珍しくなく、10キロ以上歩いて高い山を越えることもあります。

           

SNSでもご購読できます。

コメントを残す