動植物の宝庫、過酷な自然環境の雲南の三江併流保護区―中国世界遺産

中国の世界遺産、30回目は2003年に登録された自然遺産、「雲南の三江併流保護区」です。三江とは金沙江(長江上流部)、瀾滄江(メコン川上流部)、怒江(サルウィン川上流部)の3つを指しています。チベット高原を源とするこの三江は、雲南省のデチェン・チベット族自治州と怒江リス族自治州を並行して流れており、その該当地域に動植物が豊かなことから自然遺産に認定されました。

※地図は三江のひとつ、「金沙江」。

氷河、森林、沼地など変化に富んだ自然環境

3つの河川が交わることなく流れていることから「三江併流」と呼ばれています。三江は3000メートルを超える深い峡谷や6000メートル級の雪山を経て、北から南へと流れ出ています。世界自然遺産に指定されているのは8つのエリア、15の自然保護区を有する約170万ヘクタールの地区で、同地区にはさまざまな地質と地形があり、氷山、氷河、高山帯、鍾乳洞、森林、平原、沼地など変化に富んだ自然環境が存在しています。

三江2

三江3

動植物の宝庫、世界の動物の4分の1が生息

三江には多様な自然環境により多種多様な動植物が生息しています。世界の動物のうち、25%の個体が存在していると言われ、中国の固有種や絶滅危惧種が多く生息する中国有数の場所です。植物は約6000種が確認されています。金沙江には「水中のパンダ」と呼ばれるカラチョウザメが生息しています。カラチョウザメは数億年前から生息していると言われる中国の固有種で、世界に現存する魚類の中で最も原始的な種の1つです。さらに、瀾滄江には絶滅危惧種の「ヒョウ」や「マヌルネコ」が生息しています。マヌルネコは丸々とした体が特徴で、大きさはペットとして飼われている猫と大差なく、草原やゴビ砂漠地帯に生息する動物です。

丸々とした体が特徴、赤外線カメラがマヌルネコの活動捉える―中国

三江4

三江5

中国の秘境、過酷な環境下での通学が話題に

三江一帯はさまざまな表情を持つため観光の人気も高いのですが、標高が高いためたどり着くまでが大変で、秘境とも呼ばれています。そんな秘境で2008年、心温まるエピソードが話題になりました。中国最大の峡谷・怒江峡谷は、長さ300キロメートル、平均深度2000メートルという過酷な環境ですが、流域周辺の多くの村には橋が架けられておらず、住民は長年、両岸に渡された1本のロープを伝って行き来していました。小学校に通う多くの児童が対岸からロープの滑車を伝い、きわめて危険な通学を行っていたことが2007年に報じられると、報道機関が中心となって「愛心橋」という橋梁の建設が進められました。2008年3月に1本目が竣工し、その後も多くつくられました。児童らの現状に驚く声や、橋の建設活動に感動する声など大きな反響を呼びました。

辺境の「網渡りキケン通学」に心温まる続報―雲南省怒江

三江6

三江7

さまざまな地形や気候があることから、多くの動植物が生息する雲南の三江併流保護区。過酷な環境ですが、人も動植物もたくましく暮らしています。中国は動物の保護や繁殖活動を行っており、この稀有な自然環境や珍しい動植物をいつまでも伝え続けて行ってほしいものです。

           

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