中国の十大古橋、第3回目は河北省遵化市にある五音橋です。五音橋は遵化市の清朝の歴代皇帝や皇后の陵墓群である清東陵(しんとうりょう)のうち、清朝の第3代皇帝である順治帝の孝陵に続く道の途中に設置されています。
皇族文化の特色を感じられる名所にある
清東陵は河北省が144時間ビザ免除の通関政策の実施に合わせて発表した、「144時間北京・天津・河北エリア観光テーマ路線」で北京の故宮や天壇と共に、中国の皇族文化の特色を感じられる景勝区として紹介された歴史的な価値が高い場所です。清東陵内の建築物からは清代の経済の盛衰を垣間見ることができるといわれており、芸術作品は清代の文化を色濃く反映しています。五音橋もそうした建築物の一つで、清東陵内にある100基近くある石橋の中で最大にして、最も神秘的で変わった橋です。
音が出るアイデアは夢のお告げから!?
五音橋の全長は約110メートルで、幅は約9メートルです。欄干の部分には126枚の石材が埋め込まれており、叩くとさまざまな音を奏でます。中国の古代音階の「五音」が出ることから「五音橋」の名前が付けられました。石材は方解石を主成分とする大理石で、五音橋で使われている石材は鉄も多く含まれていることから、叩くと音が出るそうです。
五音橋の建設にはちょっとした伝説も伝えられています。五音橋は、順治帝の容体が悪化した際に家臣が建設を提案したといわれています。その際に、順治帝が仏教徒であるため、清らかな音が出る橋を作ろうということになりました。建設を任された大工は音が出る橋の建設に頭を悩ませていましたが、ある晩、夢に春秋時代(紀元前770年~紀元前403年)に活躍した天才的大工・魯班が現れ、大小や形が様々なお椀を叩き音を奏でる物乞いの姿を見せたことでひらめいたそうです。大工は起きるとすぐに音が出る石材をいくつも試し、大理石にたどり着いたと伝えられています。
夢のお告げによりアイデアが浮かんだという伝説はなかなか面白いですね。五音橋は渡るためだけの存在ではなく、視覚や聴覚でも楽しむことができる存在でもあります。音が出る橋は確かに神秘的で変わっています。