「中国のユダヤ人」が作り上げた福建土楼―中国世界遺産

中国の世界遺産、38回目は2008年に登録された文化遺産、「福建土楼」です。福建省南西部の山岳地域にある、客家その他の人々による独特の建築物を指します。

「中国のユダヤ人」が建てた住宅兼要塞

福建土楼はもともとは「中国のユダヤ人」と呼ばれる客家(はっか)が建てたものです。客家とは唐から元の頃に華北から南下・移住してきた人々の子孫といわれ、湖南省、福建省、広東省などに定着しました。教育熱心で優秀な人材を輩出し、華僑や華人として外国へ移った人々も多くいます。中国「改革・開放の父」と呼ばれる鄧小平(とう・しょうへい)元国家主席や中国国務院の李鵬(り・ほう)元首相も客家出身だといわれています。

実は客家が皆土楼を建てたわけではなく、福建省の一部の山間部に移住した客家が外敵から身を守るために作ったのが福建土楼だといわれています。福建土楼は居住だけでなく襲撃に耐えられるよう壁が高く分厚く作られています。中には外壁に穴をあけて外敵を狙撃できるように作られたものもあります。

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福建土楼2

福建土楼3

外観は重厚、内部は生活感あふれる

福建土楼の多くは12~20世紀にかけて建てられました。円形や楕円形、方形など形はさまざまです。福建土楼は一族が集まって暮らすために作られた集合住宅で、中央部分に共同施設や祖先を祀った廟などが置かれ、それを囲うように数十から数百の部屋が並んでいます。3~5階建ての土楼が一般的で、ひとつの家族はいくつもの部屋を所有し、1階は炊事場、2階は倉庫、3階以上で就寝するというパターンが一般的だそうです。外観の重々しい印象とは異なり、円楼内部では子どもが遊び家畜が走り回り、洗濯物や収穫物が吊るされ、生活感あふれる居住空間となっています。

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福建土楼4

福建土楼5

土楼を使った小学校が話題に

福建省には2万を超える土楼がありますが、世界遺産に登録されたのはそのうちの46カ所の約3000棟の福建土楼です。福建土楼は大きく分けて、円形の円楼と方形の方楼の2種類があります。3~5階ほどの高さを誇ります。有名な土楼としては、“土楼王子”と呼ばれている「振成楼」や“土楼の王”と呼ばれている「承啓楼」、支柱の測量ミスで傾いているが700年に渡り立ち続ける「裕昌楼」、方形の歩雲楼を中心に周りに3つの円楼と1つの楕円形の楼がある「田螺坑土楼群」などがあります。

客家の人たちが大切に使ってきた土楼ですが、中には居住に適さないものもあります。その空き家を利用して2009年には小学校が作られ話題になりました。小学校は小川の両岸に残された築400年の土楼を利用し、これを橋でつないだ構造です。未来への希望と活力を幼い子供たちに託し、村の“過去と未来をつなぐ懸け橋”になってほしいとのコンセプトによって作られ、世界最大の建築賞の一つであるアーガン・ハーン建築賞(AKAA)を2010年に受賞したほか、多くのデザイン賞を受賞しました。

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福建土楼6

福建土楼7

福建土楼を作った客家は、戦に敗れた元王族や貴族の人たちといわれています。敗走した先の南方で現地の住民と折り合いが悪く、襲撃を防ぐための土楼でした。そのため、福建土楼はほかの土楼とは違い、要塞としての性能が高いのが特徴で、独自の土楼文化が形成されました。

           

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