日本人が調査し世界に広めた雲崗石窟―中国世界遺産

中国の世界遺産、29回目は2001年に登録された文化遺産、山西省大同市にある「雲崗石窟」です。53の石窟からなる石窟寺院群で、敦煌の莫高窟、河南省の龍門石窟と並ぶ、中国三大石窟の1つです。

優れた宗教芸術を生んだ「雲崗期」

雲崗石窟は武周山麓にあり、大同市で最も有名な歴史的な遺跡です。石窟の造営は北魏時代の460年から約30年かけて造営され、約50の石窟が次々に作られました。現存する主な石窟は53窟で、仏像約5万体が収められています。石窟が次々に作られた時期は「雲崗期」とも呼ばれており、多くの優れた宗教芸術が生まれた時代として、中国の仏教彫刻史に刻まれています。雲崗石窟の最大の石窟は高さ25メートル、幅42メートルの第3窟です。雲崗石窟は当初、霊巌寺と呼ばれていました。現在では雲崗石窟のほか、石仏寺あるいは大同石窟とも呼ばれています。

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雲崗石窟2

雲崗石窟3

歴代皇帝をモチーフに大仏

雲崗石窟の代表的な仏像として、第20窟にある「結跏趺坐像」と呼ばれる大仏が知られています。この大仏は、北魏の初代道武帝をモデルにしていると言われており、第16~20窟(曇曜五窟)には全て大仏が主像としてそびえ、北魏の歴代皇帝をモチーフにしていると言われています。この曇曜五窟の仏像はインド様式の影響を色濃く受け、第1~15窟が造営される頃になると、インド様式から徐々に中国様式にその志向が変わっていったそうです。

中国の雲崗石窟研究院は長年、石窟や石像などの移動不可能な文化財を他の場所で展示する方法を探ってきました。その一環として、2018年10月、同院は浙江大学と協力し、3Dプリント技術を利用して、原寸大の移動可能な雲崗石窟第12窟「音楽窟」を製作しました。3Dプリント技術を駆使し、6カ月かけて「音楽窟」を再現しました。再現された石窟の誤差は2ミリ以内となっていて、1週間で組み立てて展示することが可能です。再現した第12窟や雲崗石窟の他の文化財をまとめ、中国国内外で巡回展示をする計画もあります。

山西省の雲崗石窟を3Dプリントで再現 移動可能でどこででも展示可能

雲崗石窟4

雲崗石窟5

日本人が世界に広めた

雲崗石窟は、日本の建築家である伊東忠太氏が1902年に調査を行い、極めて価値の高い文化遺産として発表し、世界に広めたそうです。雲崗石窟はすでに1500年以上の歴史があり、中国古代の仏像彫刻芸術早期の代表作として知られ、その後の龍門石窟などに影響を与えました。2007年には中国が選出した5A観光地66カ所(中国は各地の観光地をA~5Aの5段階で評価しており、5Aが最上級。2007年以前は4Aまでしかなかった)のひとつに選ばれました。雲崗石窟の彫像はとても壮大で、内容も豊富にして多彩です。そのため、5世紀における中国石刻芸術の精粋、中国古代彫刻芸術の宝庫とも言われています。

雲崗石窟6

雲崗石窟7

雲崗石窟は、北魏・太武帝の廃仏の後、次の皇帝となった文成帝が仏教復興を目的に作らせた背景があり、命を受け造営を行った僧侶の曇曜は北魏に滅ぼされた仏教国北涼の出身だったため、容易に破壊できないよう石仏を作ることに決め、皇帝が変わっても破壊されないよう北魏の歴代皇帝を模した大仏を作ったと言われています。曇曜の苦慮がかなったのか、雲崗石窟は今もその壮大な姿で人々の前にたたずんでいます。

           

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