道教の聖地にして天下一!武当山の古代建築物群―中国世界遺産

中国の世界遺産、15回目は1994年に登録された文化遺産、湖北省十堰市にある武当山の古代建築物群です。武当山はかつて太和山と呼ばれていました。周囲400㎞、72峰からなる広大な山で、主峰は標高1612mの天柱峰です。その他の峰は主峰に向かって傾いています。

道教の聖地にして天下一の山

武当山は、中国でよく知られている神様「真武大帝」が修行し、神になった場所と言われており、道教に縁がある山の中でも最高峰の聖地と呼ばれています。そのため、古来より道教の信者が仙境を求め武当山に訪れました。信者にとって武当山はまさに理想の地と言えます。後漢の時代、道教が誕生して以来歴代帝王が幾度と武当山で儀式を行なったことから、名声が日に日に高まりました。武当山の名声が広く天下に知れ渡ったのは、宗教家の張三豊が武当派と嵩山少林派の名声を等しくしてからだと言われています。武当山の風景は「泰山」の偉大さ、「黄山」の珍しさを兼ね備え、北宋時代の画家から“天下一の山”であると誉め称えられたこともあります。

武当山の古代建築物群

武当山2

武当山3

武当山には道観(道教寺院)が多く建立されましたが、元の時代に戦火で焼失し、明の洪武帝の時代に再建されました。最も多かった時期で、道教寺院の数は2万以上にのぼったと言われています。2007年には、69年前に流出した銅像が武当山に帰ってきたと話題になりました。当時帰還した銅像は、1938年の日中戦争期に失われたものです。当時は国民党軍が重慶市へ移動する際に道観の銅像など金属類を回収し、持ち運びに便利なように多くは溶かされて一塊にされたそうです。難を逃れたわずかな銅像も、日本軍の攻撃に遭い行方不明になっていました。

道教の聖地に失われた宝物が帰還―湖北省十堰市

武当山4

武当山5

日本でも人気の映画のロケ地

武当山の数ある建造物の中で、「紫霄殿」と「金殿」が特に有名です。「紫霄殿」は1413年に建造され、当時に近い状態で残っています。「金殿」は主峰「天柱峰」の頂上にあり、1307年に建立されました。一見すると木造建築のようですが、瓦や梁、門にいたるまで、すべて銅で作られています。武当山はこれまで、ドラマや映画など数々の映像作品のロケ場所となりました。2000年に公開された「グリーン・デスティニー」は日本でもよく知られた作品で、この作品も武当山で撮影されました。

武当山6

武当山7

武当山と道教は深いつながりを持っています。道教では陰陽五行説を取り入れていますが、この陰陽五行説を起源とし独自に発展させたのが日本の陰陽道です。武当山は標高が特に高いというわけではありませんが、険しい岩肌や木々が生い茂る風景からは仙境を連想する人も少なくないでしょう。

           

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