宇宙からは見える?全長2万キロメートルの万里の長城―中国世界遺産

国連教育科学文化機関(ユネスコ)が毎年夏ごろに発表している世界遺産。2018年は6月24日から7月4日にかけて中東のバーレーンで会合が開かれ、登録案件が発表されます。世界遺産は大きく分けると「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」の3種類があり、2017年の時点で登録数が最も多いのはイタリアです。2位は中国で、アジアで最も多い登録数を誇っています。今回はアジア一の登録数を誇る中国の世界遺産をご紹介したいと思います。初回は1987年に登録された文化遺産、万里の長城です。

※地図は北京の八達嶺。

宇宙からは見えないが、巨大すぎる建造物

万里の長城はユネスコの世界遺産としては中国で初めて登録されたもの1つで、1987年に万里の長城を含め6件が登録されました。万里の長城は北京のほか、北は黒竜江省から西は新疆ウイグル、南は海南省まで広がっているといわれており、2012年に発表されたデータでは全長は約2万1200キロメートルに達します。1987年の世界遺産登録時の全長は約6300キロメートルでした。その大きさに、これまで「宇宙から肉眼で見える唯一の建造物」と呼ばれていましたが、2003年に中国の宇宙飛行士・楊利偉氏が「万里の長城は見えなかった」と発言し話題を呼びました。さらに、2015年には国際宇宙ステーション(ISS)のクルー、ロシアのセルゲイ・ヴォルコフ宇宙飛行士が、同国のコントロールセンターとの連絡の中で、「ISSから中国の万里の長城は見えないが、夜間には中国の道路が見えた」と語ったそうです。

国際宇宙ステーションクルー「万里の長城は見えないが、中国の道路は見えた」―中国メディア

万里の長城2

調子に乗って城壁を破壊した男性が捕まる事件も

万里の長城は紀元前7世紀の春秋時代から明の時代まで、約2000年以上にわたり造成を重ねてきた世界最大の城壁です。現存の万里の長城の大部分は明代に作られたものです。長い歴史に加え、近隣住民による破壊で万里の長城は大きなダメージを負い、現在では保護が進められています。落書きも問題になっており、北京政府では2006年に万里の長城のレンガの持ち去りやレンガへの落書きを違法と定め、2014年には慕田峪長城に「落書き専用ボード」を設置しましたが、効果はなかったようです。万里の長城の破壊はたびたび話題になっており、2016年7月には河北省で万里の長城を破壊したとして観光客の男性が拘留されました。男性は大営盤長城に訪れた際に城壁を破壊し決めポーズしている動画をSNSに投稿したことで目を付けられ、最終的に自首して10日間拘留されました。

中国の男が「万里の長城」を破壊し決めポーズ、大事になりすぐに自首

万里の長城3

代表的なスポットは北京の八達嶺

万里の長城は国内外の観光客が訪れる中国を代表する観光地で、中でも北京の八達嶺は多くの人が訪れている万里の長城の代表的なスポットです。同じく北京の慕田峪長城は現存する万里の長城の中では比較的保存状態が良いカ所で、こちらも人気のスポットです。2007年にはスイスの「ニュー・セブン・ワンダーズ」財団が発表した「新世界七不思議」の1つに万里の長城が選ばれました。2016年には、旅行者の口コミ情報を提供する米トリップアドバイザーが発表した世界の人気観光スポットランキングで、北京の慕田峪長城が16位にランクインしました。

「万里の長城」は世界の旅行者に高評価=世界ランキング16位に

万里の長城4

万里の長城は戦の際に敵の進攻を止めたり、動きをうかがったりとさまざまな役割を持った軍事施設です。王朝の移り変わりで増改築されてきた歴史があります。今は軍事的な役目が終わり、現代人に先人たちの知恵と偉大な功績を伝えています。風雨にさらされているため風化を防ぐのはなかなか難しいとは思いますが、人為的な破壊は少しでも早く根絶してほしいものです。

           

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